2021年04月06日
金沢春日ケアセンターの広報誌 ふれあい(通算115号)を発行しました。
今回の広報誌では、当施設のコロナ対策について、高齢者介護施設でのコロナ戦略と題して金沢春日クリニックの小川晴彦医師が執筆しておりますのでご紹介します。
―高齢者介護施設でのコロナ戦略―
地球難“コロナ”との対峙
金沢春日クリニック 医師・小川晴彦
高齢者介護施設のコロナ戦略は難しい。老健施設は、訪問や通所部門を介して外部に通じ、なによりも看護や介護は<密接>なしでは成り立たないからだ。コロナ禍の長期化に伴い、<持ちこたえる>という意味合いも、“誰も感染しない”から“感染を最小限にくいとめる”に変わらざるを得ない。
先日、発熱した職員がCOVID-19陽性者であることが判明した。ともに頑張ってきた仲間だ。責めるとかそういう感覚とは違う。たまたま自分ではなかっただけのことだ。
独自にPCR検査実施 クラスターを未然に防ぐ
幸い保健所からは、「今回の感染には濃厚接触者はいない」との連絡を受けたが、独自の判断でただちに、通所系のサービスを停止し、密接が想定される利用者様とスタッフをリストアップした。ウイルスの排出量が多くなる時期を狙ってPCR検査を実施し、全員の陰性を確認した。
クラスターの発生を未然に防ぐことを初めて経験し安堵したものの、どれほどたくさんの方々に心配をおかけし、動揺をまねいたかは察するに余りある。しかしこの間、決して揺らぐことのなかった信念がある。どのような局面であっても、春日スタッフが一丸となって利用者様をお守りしたいと願い、利用者様がそれを理解しご協力いただくことで春日も春日として存在しつづけることができるということだ。もしかするとコロナ禍は高齢者介護施設と利用者様との関係を進化させているかもしれない。
withコロナの未来
待つこと一年。間もなくワクチンが届けられる。確かに一つの節目ではあるが、もとの生活に戻れるわけでもなければコロナ禍に終止符が打たれるわけでもない。ウイルスは変異しながら人類に次々と難題を押しつけてくる。アフターコロナはもはや神話なのだろうか。
誰が言い出したか、“withコロナ”。必要なのは、どれほど社会生活に制限を強いられても、その中に豊かな生き方を見つけだす英知にほかならない。