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News お知らせ

ふれあい掲載記事紹介
“春日発”コロナと闘う医療者へのメッセージ

2021年04月16日

金沢春日ケアセンターの広報誌 ふれあい(通算115号)に掲載されました、当施設の小川晴彦医師が金沢大学の朝倉英策医師と共同で発表した「エクモ関連出血トラブルの克服を目指して」についての記事を紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

英·医学誌「ランセット」に掲載

“春日発”コロナと闘う医療者へのメッセージ

金沢春日クリニック 医師・小川晴彦

 

 COVID-19の重症肺炎症例にはECMO(エクモ;体外式膜型人工肺)が使用されるが、エクモ自体は積極的治療というより時間稼ぎの意味合いが強く、本質はウイルスによって引き起こされたサイトカインの暴走<サイトカインストーム>をいかに早く察知し制御するかである。

 我々は、新型インフルエンザ重症患者救命の経験(2009年)から、COVID-19でもポリミキシンカートリッジを透析膜とする体外循環法が、サイトカイン除去に役立つのではないかと考えた。これにより、エクモからの早期脱出のみならずエクモ導入回避が可能になるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 また、重症コロナでは全身の血液が固まって(凝固)死に至るが、わずか数日間で、血が溶け出す(線溶)という全く反対の方向に病態が豹変することに気づいた。エクモ使用患者の30%が血栓(凝固)ではなく脳出血(線溶)で命を落としているという。抗凝固治療も反対方向に舵をとらなくてはならない。

 これら、朝倉英策先生(金沢大学)との一連の報告の中で、「エクモ関連出血トラブルの克服をめざして」がこのたびランセットの呼吸器専門誌に採択された。“的確な凝固管理とサイトカイン除去による重症コロナ患者の救命”は、コロナ最前線の医療者に届けつづけているメッセージである。“春日クリニックから世界への発信”は、コロナと向かい合う全職員との<絆・きずな>がモチベーションになっている。