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利用者さまの人生のよき伴走者でありたい

金沢南ケアハウス
特定施設入居者生活介護 介護職
元介護主任
入職年:平成12年

◆資格
介護福祉士、認知症介護実践研修実務者研修修了、認知症対応型サービス事業管理者研修修了、実務者研修教員講習会修了、介護福祉士実習指導者講習会修了

Interview

インタビュー

Q.介護の仕事を始めようと思ったきっかけを教えてください

「私にも介護ができるかも・・・嫌いじゃない」がきっかけ

A.平成12年の介護保険制度導入が世間で騒がれるようになり、姉の勧めもあり入職前にヘルパー2級の資格を取りました。当時のヘルパー研修は実習がありましたので、訪問ヘルパー事業所と介護老人保健施設で実習をしました。実習先の介護老人保健施設を見学・体験し、「私にも介護ができるかも・・・嫌いじゃない」と思ったのが介護の仕事を始めるきっかけだったと思います。

現在の介護の初任者研修や実務者研修では、実習のあるなしは養成校に任されていますが、個人的には「百聞は一見に如かず」で実際の現場を体験した方が良いと思っています。金沢南ケアセンターに来た実習生の方には、「気になる施設があればどの施設でもたいていボランティアの受け入れをしているので、ぜひ現場を体験してください」と声かけをしています。

定年後も再雇用を希望。やりがいある介護の仕事を続けています。

私は介護保険制度導入の年に入職し、制度をあまり理解していなかったこともありますが、今よりは時間的にゆとりがあったような気がします。その後、介護保険制度が3年に1回見直しが行われ、介護ニーズの多様化・高度化に対応する業務、そしてプロフェッショナルとしてレベルの高いサービス提供が求められるようになり、常に何かに向かって走り続けてきたように思います。

平成29年4月に定年を迎え、職員関係の良さ・垣根のない部署間・自由闊達に意見が言える職場環境、そして何よりもやりがいのある介護を続けることができる南ケアセンターでの再雇用を希望し、今に至っています。介護の仕事を続けてこられたのは利用者さま、職場の皆さま、そして家族のおかげだと感謝しています。

Q.日々のどのような仕事をされていますか。長年、介護の仕事を続けてこられて、改めて気づいたことなどはありますか。

A.現在の仕事は介護主任業務、介護実習生の対応、そして現場の応援をすることです。現場で利用者さまの介助をする時間は、私にとって「初心に帰る」大切な時間です。以前、研修会で高齢者疑似体験教材を装着して、白内障などの視覚障害がある方の見え方を体験するという機会がありました。驚くほど視野が狭く、見えないことにびっくりしたことを覚えています。利用者さまの前に立てば、介護者の姿や声が聞こえているものだと思いこんでいました。でも、それだけでは十分ではないことに気づきました。それからは利用者さまの正面に立ち、利用者さまの目を見て挨拶をするように心がけました。明らかに私の姿が見え、目と目が合った時、利用者さまが安心されたような表情に変わっていきました。こうした最初の関わり方が信頼関係を結ぶためにもとても大切で、その後の支援にも大きく影響を与えることが分かりました。

Q.介護職の仕事で、やりがいを感じるところはどんなところですか。

利用者さまの人生の一部を伴走できることに喜び

A.私がこれまで介護を続けることが出来たのは、利用者さまからの「ありがとう」の言葉や表現に励まされてきたからです。そして、感動したこと嬉しかったこと悲しかったことなど、利用者さまのその時々の感情を共有しながら、人生の一部を伴走できることにやりがいを感じてきたからだと思っています。

介護をしていると、一方的に利用者さまをお世話をしていると思ってしまいがちですが、その逆もあるんですよ。私は人生の大先輩ですから、子育てのことや日々のいろんなことを教えていただいています。特に、利用者さまのひ孫世代のような若い世代の職員が、利用者さまとのやり取りを通じてどんどん変わっていくを目の当たりにします。最初は、ちょっととんがっていたり、閉じこもっていたりする部分があっても、いつの間にかとんがりがなくなって、まあるくなって。人としてとても成長していくことがよくあります。

Q.介護の技術や考え方も時代とともに変化してきています。こうした変化について感じることはありますか。

A.平成12年に創設された介護保険制度ですが、平成19年の社会福祉士及び介護福祉士法・定義の見直しで「入浴、排泄、食事その他の介護」が介護・福祉ニーズの多様化・高度化に対応するために業務内容が「心身の状況に応じた介護」に変更になりました。介護職として、より専門的に利用者さまの容態に合わせた適切な介助を見極め、実行することが求められるようになりました。

新しい技術、道具にワクワク

また、介護職の職業病ともいわれる腰痛も大きな課題としてありました。介護技術も進化して、腰の負担軽減等で「持ち上げない介護」という移乗方法が考えられ、あちこちで講習会も開かれています。南ケアセンターでも、外部講師を招いて「持ち上げない介護」の勉強会をしました。最近福祉用具の介護リフトも導入されました。身体の大きい方、病状的に安全な移乗が必要な方、また職員の腰の負担軽減等での活用を期待しています。新しい技術を習得したり、新しい道具が増えるとワクワクし、これからの励みにもなるように思います。いま仕事をしている介護職員を守るためにも、常にアンテナを伸ばし、その時代に合った介護を取り入れていかなければならないと考えています。

Q.利用者さまと同様に、ご家族を支えることも介護職の役割です。ご家族へのケアはどのようなことに気を配っていますか。

A.ご家族を支えることは老健の介護職にとって大事な役割です。先日、介護実習生が退所前訪問に同行しました。その時の様子が実習生の記録に「介護職員が非常にわかりやすく施設内での利用者様の様子や、在宅生活での注意点を説明しており、ご家族も安心した様子で説明を聞いていた。改めて在宅生活の継続に介護職の役割の重要性を感じた」と書いてありました。ご家族に対して職員が常に心がけていることが実習生に伝わっていることを嬉しく思いました。

施設の介護職として、在宅復帰後の生活も支える

南ケアセンターの老健では、ご家族が農作業などの繁忙期に利用者さまを受け入れる「期間限定入所」のケースも多いのが特徴です。利用者さまがご自宅に帰る際、介護職員は利用者さまが在宅での生活を安心して続けられるように、施設内での様子をご家族に的確に伝え、介護の知識・技術の相談に対しても答えられる能力が求められています。

ご家族との連携を大事にしたい

ご家族を支援する取り組みとしては、家族会もその一つだと思います。ご家族同士の情報交換、介護保険制度や介護の勉強会を定期的に行っています。家族会と南ケアセンターの職員でつくるアウトドア・スポーツ同好会は共同企画で水引細工や苔玉、クリスマス飾りなど楽しみとなる場づくりも行っています。ご家族からも好評を得ており、職員にとってはさりげなくご家族から色々な話を聞く良い機会となっています。

Q.若手の介護職員に伝えたいことはありますか。

A.私が入職した20年前と比べると介護職のスキルは各段に向上しています。以前は、入職当初に介護福祉士の国家資格を持っている人はごくわずかだったように思いますが、今老健の有資格者は90%を超え、専門的な知識と技術に基づき、個人援助計画に沿ったサービスを提供しています。

「これで良し」と満足することなく、貪欲に学び続けてほしい

また、南ケアセンターでは、計画的に施設内研修や全体研修を開き、合わせて外部研修にも必要に応じて順次参加しながら日々サービスの向上を目指しています。これからも介護・福祉のニーズの多様化、高度化は続くと思われます。若手職員には「これで良し」と安易に満足するのではなく、自ら貪欲に学ぶ姿勢を忘れないでほしいです。専門職として正しい知識・技術に裏打ちされたケアで、一人ひとりの利用者さまに寄り添った介護ができるように頑張ってほしいと願っています。