閉じる

一人ひとりの働き方、生き方に寄り添う

医療法人社団仁智会
総務部 部長
入職年:平成19年

◆資格
ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士資格、販売士1級、日商簿記検定2級

Interview

インタビュー

Q.営業職からの転身と伺いましたが、どのような仕事をされていたのですか?

A.地方百貨店に約27年勤務。売場勤務はわずか1年、その後、本社の経営戦略室、経理財務本部、営業店総務部など管理部門で働いていました。その後わけあって退職。ハローワークで50歳を過ぎおっさんの事務職はないだろうと検索していたら、当法人の事務職募集を見つけ、運よく採用されました。入職後は総務部に所属し、仁智会の事務部門を預かっています。

Q.百貨店から、第二の人生として介護施設での仕事に変わった当初、働き方などの違いを感じましたか。

事務職入職後、まずは介護現場を1か月経験

A.現在は総務部長の肩書をいただいていますが、転職した当初、医療・介護の専門知識は全くありませんでした。入職当初、事務職で入ったにも関わらず、北中理事長から「1か月ほど現場を経験して来い。」と言われました。そのときは「ええ~!」と思いましたが、すぐにユニクロへ行って白のポロシャツを買って、翌日からデイケア、ショートステイ、老人保健施設、ケアハウスと1週間ずつ計4週間介護現場を経験させていただきました。

介護現場での仕事内容は多岐にわたります。デイケアでは、送迎車に添乗し、ご利用者の乗降の補助、車内で健康チェック、シートベルトなどの安全確認、ご利用者との世間話など。老健では食器洗い、食事の配膳、ご利用者とのコミュニケーションなど、なんでもしました。認知症のご利用者の方と会話をしていると、「あんた誰や…」から始まり、毎日同じ話になります。立ち仕事をしていて、突然お尻から太ももにかけて温かくなったので振り向くと、背後にいらしたご利用者の方に放尿されていたなど…なかなかできない経験もしました。

それでも、金沢春日ケアセンターの心の優しい職員の皆さんと接したり、ご利用者とのゆったりとした時間を過ごすうちに、営業成績に目をギラギラさせていた前職の頃とはまた違う喜びを感じている自分に気づきました。入職時のこの介護業務の実体験は、その後携わることになる人材採用活動などの総務業務の仕事に対する考え方などにも少なからず良い影響を与えていると思います。

Q.介護職をはじめ、様々な職種の採用活動に関わられています。入職後はスムーズに場になじんで働けるようなサポートをされていると思いますが、留意されていることはありますか。

A.仁智会が独自に設けている行動指針クレド「私たちの信条」にあるように、「当施設をご利用される方々に安心と心豊かさをお届けすること」を私たちの使命としています。そのためにはそれぞれの専門職の協力のもと組織でより良いサービスを提供していかなければなりません。採用時には、介護業務に対する考え方や思い、介護感、協調性、コミュニケーション能力、主体性、チャレンジ精神、誠実性などを重要ポイントとして面接をしています。

働き続けられるように、ちょこっと相談できる場を

入職後、早期に辞めてしまう方も時々います。その理由は、職場・同僚との関係がうまくいかない、仕事内容に興味が持てなかった、能力・個性・資格をいかせなかったといったことなど人間関係や目標の喪失、給料、休日、労働時間など条件に関することなどさまざまです。しかし、もっとも大きな課題として、こうした悩みや不安を気軽に相談する人がいないということが、辞める方の背景にあることに気づきました。小さなつまずきがきっかけで、職を辞めてしまうのはとてももったいないことだと思っています。思いつめる前に何か手を差し伸べることができないか、いろいろと考えました。

現在、当法人では、職場の同僚や上司と話しやすい関係づくりの研修、ご利用者・ご家族との良好な関係などを築くためにコミュニケーション能力を高めていただく場、自社を知ってもらう、仕事を理解してもらう機会などをたくさんもうけています。親睦会(ボウリング大会、ヨガ教室飲み会、食事会等)やクラブ活動などのイベントや交流の場を設けて、人間関係を良くする対策も講じています。大上段に構えて相談する場を設けるというより、ささやかな交流を通じて気軽に肩の荷を下ろす、心のおりを吐き出すといったことが効果的だと思っています。

Q.介護の現場において、職員がやりがいを持って働き続けるために重要なことはどんなことだと思われますか。

A.社会人になって職業に就いて働く。当たり前のようですが、一人ひとり働く理由はさまざまです。なぜ働くのか、自分はどう生きたいのか、仕事を通して何を得たいのか、そのためにどのようにしたらよいのか―働く意味について、答えを持っている人、いない人さまざまです。

「マズローの欲求5段階説」を意識して人育て

働く意味について説明するとき、よく引き合いに出されるのが「マズローの欲求5段階設」です。米国の心理学者アブラハム・H・マズローは、人間の欲求は下から上へ5段階(生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求、承認の欲求、自己実現の欲求)あり、ある欲求が満たされると一段上の欲求を持つようになると唱えました。経済的に自立して生活の安定を得るために働くだけでなく、仕事を通して人とより良い関係を築きたい、評価されたい、自分が目指す自分になりたい、人によってさまざま欲求があるということです。自分が置かれている環境の変化や、自分の成長によって、働く理由もまた変化します。

職員に問いかけると、介護の仕事を選んだ理由や背景もさまざまあることが分かります。介護の仕事のやりがいは、何といってもご利用者やご家族から直接「ありがとう」などの感謝の言葉が頂けることではないでしょうか。クレドにもあります「尊厳を守る介護」を目指し普段からご利用者の生活に寄り添い、ご利用者やご家族から信頼され、生き生きした表情・笑顔を見ることによって、喜びややりがいをいっそう感じられるようになるのだと思います。

当法人の人事評価制度も、職員がやりがいを持って働き続けることができることを目的に作られています。経営者である理事長のおもい・クレドと、そこで働く職員のおもい・夢を重ね合わせ、ともに成長できるウインウインの関係を目指しています。

Q. 「働き方改革」を推進する時代において、働きやすい職場となるために工夫されていることはありますか。

風通しの良い環境づくりを心がけています

A.クレドで宣言しているように、職員ひとり一人が価値ある貴重な財産として尊重され、安心して働ける職場環境をつくるために、定期的に職員満足度(ES)調査や毎年ストレスチェックを実施しています。「職場における心の健康づくり」にも取り組み、相談窓口の設置、互いに感謝の気持ちを伝え合う「ありがとう運動」などを実施しました。

組織としては、QMS(品質マネジメントシステム)委員会を中心に、リスクマネジメント委員会、教育委員会、業務委員会など各種委員会なども開催し、各職種の職員が参加し、組織横断的にあらゆる問題・課題を話し合う体制をつくり、風通しの良い職場環境づくりに力を入れています。

子育て支援として、施設内託児室の運営、短時間勤務制度の活用も推進しています。働きながら介護や福祉の資格取得を目指す方への支援、資格手当制度も充実させています。