医療法人社団 仁智会

花*ひろば 2022年09月一覧表示

【春日ケア・ロビーのお花】ユリ…それは「揺り」&「寄り」の融合

ブログ春日花アレンジ

縄文時代から日本人に寄り添ってきたユリ

金沢春日ケアセンターのロビーのお花を紹介します。

今日の主役は大きく開花したユリです。花に詳しくない方でも、ユリは見ただけで花の名前を言い当てることができると思います。日本人とユリの関わりは古く、縄文時代の遺跡からユリの球根が出土したという記録もあります。奈良時代に記された古事記、万葉集にもユリは描かれており、神の花として祭りや祈りの儀式に捧げられてきたり、庶民にも親しまれる花として愛されてきました。

ユリの語源は、花が揺れる様子の「揺り」からとも、球根の小さい鱗片が重なり合う「寄り」からとも言われています。揺りと寄り…どちらも語源としてありそうですね。

立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花

美しい女性は、立っていても座っていても、はたまた歩いていても絵になるという表現です。芍薬は茎の先に花を咲かせ、牡丹は枝分かれした横向きの枝に花をつけ、百合は風に揺れる様子が美しい…だから、芍薬は立って、牡丹は座って、百合は歩きながら見るのが「いとをかし」という別の解釈もあるようです。

一輪あるとぱっとその場が明るく華やかになり、芳香も個性的なユリの花。そんなユリの花言葉は「純粋」「無垢」。ピンクのユリは、「虚栄心」という意味も込められています。

青いリンドウの花と一緒に生けると、より一層秋の趣を感じます。

階段に飾ると足元も明るく

階段のステップに花を飾ると、こんなに素敵な雰囲気になりました。

足元が明るくなったように感じます。花を上から眺めることができて、また違った趣を楽しめます。

 

 

 

【春日ケア・ロビーのお花】ワレモコウ 茶人に愛された季節の花。花は野にあるように。

ブログ春日花アレンジ

赤茶色の小さなガクの集合体、ワレモコウ

金沢春日ケアセンターのロビーのお花を紹介します。

大きく広がる赤い花は、グロリオサ

茶色の粒状の花がかわいらしいワレモコウ

今回の花アレンジで注目していただきたいのは、楕円形をした粒状のワレモコウの花です。花束などで見たことがある方も多いと思います。深い赤、茶色の粒が風に揺れているのを見ると、秋の訪れを感じます。

ワレコモウはバラ科です。グミのように見える粒は、2mmほどの小さな花が集まってできたものです。一つひとつの花には花びらがなく、ガクだけでできています。日本では雑草として扱われることが多いのですが、根や葉を天日干しにしたものは古くから生薬として用いられてきました。抗菌作用、収れん作用があり、止血、抗菌に効果があるそうです。

お茶室に秋の彩をそえる

お茶室の床の間に飾る茶花としても愛されて来ました。「花は野にあるように」。千利休の教えです。ワレモコウの茎が不規則な方向に伸びている様子や、蕾状の花の控えめな様子が、まるで自然の中にありのままに咲いているように見えるため、秋の珍花として茶人が好んで扱ってきました。

ワレモコウの深い赤茶色は、花入れに良く使われる備前焼や信楽焼、竹の渋いデザインに良く似合いますよね。花言葉は、変化、移ろい、憧れ、もの想い…など。見る人の気持ちの変化、深い思いを象徴する花だということが分かります。

暑い夏が少しずつ少しずつ秋へと移ろい、目に入る景色にも赤や茶色の深い色合いが増えてくる。そして、また新しい楽しみも待っています。

季節の小さな変化をぜひ楽しんでください。